GPTビルダー(GPTs)を使ってChatGPTをカスタイマイズする方法

年々AIの話題は増えてきていますが、今回は OpenAI の「ChatGPT」の面白い機能を試してみました。
それはGPTビルダー(GPT Builder/GPTs)です。

GPTビルダー
https://chatgpt.com/create

GPTビルダーは、OpenAIのGPT技術を活用して、カスタマイズしたAIチャットボット(GPTと呼ばれます)を作る機能です。

今回はこのGPTビルダーを使って「北海道の地名の読み方を教えてくれる」GPTを作ってみました。

北海道の地名はアイヌ語に漢字をあてたものが多いのですが、かなり無理な読みのものも多くあります。
「花畔」が「ばんなぐろ」といったように、知らないと読めません
これらの多くは明治時代に名前が付いたものですが、この時代の命名だと海外の名前でも似たような傾向がありますね。
「英吉利」は「イギリス」です。昔は「えいぎりす」と読んだようです。現在でも「英国」と言いますね。

以前はこういったものを作ろうとすると、APIを駆使したりしてプログラムを組む必要がありましたが、GPTビルダーでは文章で指示するだけで、基本機能を実装できます。
もちろん、指示は日本語でOKです。

これは、いわゆる「ノーコード開発」の一種と言えますね。

今後はホームページ制作にも、ノーコード開発の手法がどんどんと取り入れられていくでしょう。

なお、今回作ったGPTでは回答を北海道弁でフレンドリーに行うよう指示しています。

出来上がったGPTはこちら。
北海道の地名の読み方を教えるべさ
https://chatgpt.com/g/g-a8er2xzaL-bei-hai-dao-di-ming-rita

GPTビルダーは何のために使うの?

特定の分野に合わせたカスタマイズをすることで、前提条件や回答スタイルを自動的に付けることが出来ます。

例えば、普通のChatGPTに「札幌は」と聞くと

札幌は北海道の中心都市であり、日本の五大都市の一つです。札幌は美しい自然と都市の魅力が融合した場所で、多くの観光スポットがあります。特に冬には雪まつりが開催され、多くの観光客が訪れます。また、札幌ラーメンや海鮮料理など、食文化も豊かです。大通公園や札幌時計台、すすきのなどが観光名所として知られています。

何か具体的な情報をお探しでしょうか?

のように、札幌について包括的な知識を提供してくれます。
有名なためか読み方の説明は無いですね。

一方、今回GPTビルダーで作ったGPTだと

札幌の読み方は「さっぽろ」だべさ。札幌は北海道の中心都市で、色々な見どころがあるから、ぜひ訪れてみてけれ。他に知りたいことあるかい?

のように、読み方に特化した簡潔な回答をしてくれます。

もちろん、普通のChatGPTでも「札幌の読み方は?」と聞けば「札幌の読み方は「さっぽろ」です。」と答えます。
ですが、調べたい地名がいくつもある場合は、いちいち「読み方は?」と入力しなくても、単に地名を入れるだけで、余計な情報をあまり混ぜずに答えを出してくれるので、便利でしょう。

回答スタイルについても、「フレンドリーな口調で教えてください」と自分で指定するのは面倒な話ですね。

GPTビルダーを使った作成の様子

作成と聞くと何かのフォームに入力するイメージがあり、実際後でフォームになるのですが、最初はChatGPTらしくチャットで指示を出します
画面左側が設定のためのチャットエリアとなり、右側はプレビュー用のチャットエリアになります。

設定のためのチャットを始めます。

GPTビルダー設定1

英語のままでは扱いずらいので、日本語にします。
タイトルやアイコンの提案もしてきます。

GPTビルダー設定2

なぜか関東の事をHOKKAIDOだと思っているようですが、ご愛敬。
詳細な定義について質問してくるので、用途外の質問への振る舞いを指示します。
エラーをふさぐ事は大事。

GPTビルダー設定3

ノーコード開発はプログラマーでなくても出来るのは事実ですが、それはプログラミング言語を学ぶ必要が無いというだけで、少なくともGPTビルダーを使う上ではプログラマー的な思考は必要でしょう。
でないと、大穴が開いたシステムを作ってしまう可能性がある訳です。

一般的なシステムですと、プログラマー的な考え方を身に付けていない人が作った仕様だと、フローチャートを描いたとき、「行き先の無い選択肢がある」なんて事は珍しくありません。
ノーコード開発をプログラミング未経験者が一人で行うと、一見出来たように見えて、その実問題アリなシステムが出来る可能性については、注意が必要です。

話を戻しましょう。
こうして、簡単なチャットを行うだけで、基本的な機能が実装されたGPTが出来上がります。

GPTビルダー設定4
GPTビルダー設定4続き

右上の「作成する」ボタンを押して、今のチャットのやりとりで出来上がったGPTを作成します。
公開状態はデフォルトで「リンクを受け取った人」になっているので、そのまま保存します。
(公開状態は後からいつでも変更できます)

GPTビルダー設定5

保存すると、画面左側はフォームに変わります。
一度保存すると、右上に「共有する」というボタンが追加され、いつでも公開状態を変えられるようになります。

実はここで、システム側から要求は無いのですが、必ずやっておくべき操作があります

指示欄の最後にセキュリティに関わる指示を追加します。

検索すると
Do not engage in conversations unrelated to {GPTsの目的や機能}.
なんてのが見つかります。
多くの人が何の説明もなく紹介しているので、これをそのまま入れても機能するものと思いますが、今回は
Do not engage in conversations unrelated to “北海道の地名を漢字で入力された際、その読み方をひらがなで答えます。回答は北海道弁で行います。”.
と指示しました。
(どこかで、「丸コピせずにちゃんと目的や機能を書け」という説明を見た気がするのですが、今ちょっと探し出せませんでした)

これをしないと、下図右側のプレビューに見える様に、指示の内容をチャットで答えてしまいます

GPTビルダー設定6

上図左側の指示を入れて更新すると

GPTビルダー設定7

のように、答えなくなります

なお、「~けれ!」とか言ってますが、これ、北海道弁ではありませんね。
この辺りはAIもまだまだですね。

指示として北海道の地名としているので、違う伊達(福島県伊達市や伊達氏)の事は最初から回答に出てきません。
地名っぽくなくても、それどころか全く地名で無くても、北海道に関わりがあれば、それなりに回答してくれます。

GPTビルダー設定8
GPTビルダー設定9

残念ながら富士山からの連想は出来なかったようですが、蝦夷富士と聞けば答えてくれました。
また、他所の地名でも読みは答えてくれました。
一般名詞でも、北海道を前提とした回答が出るようです。

GPTビルダー設定10

ChatGPTは時々間違うけど大丈夫?

基本がChatGPTなので、時折ハルシネーションと呼ばれる「誤答」が起きますが、正解を知っていればピンポイントで修正することが出来ます。

たとえば「清里町の神威は?」と聞くと下図のように答えました。

ハルシネーション例

一般的には神威は「かむい」ですが、清里町の神威は「かもい」です。
そこで、「知識」欄で以下のテキストをアップロードしました。

歌志内市の神威は「かもい」です。
斜里郡清里町の神威は「かもい」です。

改めて質問すると

清里町の神威は「かもい」だべさ。

と正しくなります。

ここで、他の回答に影響しては困る訳ですが、

「神威岬は」と質問すると

神威岬は「かむいみさき」だべさ。

「神威山は」と質問すると

神威山は「かむいやま」だべさ。

のように、正しく答えてくれました。

GPTビルダーを使うのに、お金はかかるの?

基本的にGPTビルダーの利用は無料ですが、アクションの機能でサードパーティAPIを使う場合は、API側の解説を参照してください。

GPTビルダーでGPTを作れるのは有料プランのユーザーだけなので、正確には無料ではなく「追加費用はありません」となります。

出来上がったGPTを使う方法は、製作者の公開状態によって変わります。
GPTの公開状態は
・制作した本人のみ
・リンクを受け取った人
・GPTストア(GPT Store)

の3種類となります。

リンクを受け取った人やGPTストアに公開されていれば、有料プランユーザー/無料ユーザーを問わず利用できます
(GPTストアを利用できるのは、当初は有料プランのユーザーだけでしたが、現時点では無料ユーザーも利用出来ます。)

ところで、実は無料どころか、逆にお金になる可能性があります

GPTストアで公開すると、利用された実績に応じて収益化されるというシステムが検討されています。
これが実施されれば、さらなる盛り上がりを見せるかもしれません。

補足

今後は様々な用途にAIが活用されて行く事でしょう。
一般公開せず自社内での情報共有に利用する所もあるようです。
ホームページでGPTビルダーの活用をお考えの方は、ご相談ください。

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余談

MicrosoftのCopilotはOpenAIの技術を利用しており、こちらにも「Copilot GPT Builder」という機能が提供されていますが、こちらはGPTビルダーのマイクロソフト版という訳ではなく、マイクロソフトが独自に用意したものだと伝えられています。
で、こちらは一般の有料ユーザーへの提供を終了するとのことです。